
こんにちは。
不動産営業の現場では、仲介手数料に加えてどれだけ付加価値を提供できるかが、粗利や評価に大きく影響します。その中でも火災保険の提案は、工夫次第で顧客満足度を高めながら安定した粗利を生み出せる重要なポイントとも言えます。
今回は、不動産営業職の方に向けて、火災保険提案で成果を出すための考え方と、現場で使える営業トーク、避けるべきNG例を整理して解説します。
不動産営業が押さえたい火災保険提案の基本

住宅購入はゴールではなく、暮らしのスタートです。不動産営業として火災保険を提案する際は、「契約のための手続き」ではなく「住まいの安心を設計する提案」という視点を持つことが大切です。
まずは、火災保険の提案の仕方や考え方の基本を見てみましょう。
再調達価額を軸にした保険金額の伝え方
火災保険の提案で最初に押さえたいのが、建物保険金額を再調達価額で設定する考え方です。
「保険料をできるだけ抑えたい」という要望に応えて時価額で設定してしまうと、万が一の際に建て直し費用が不足する可能性があります。このような場合は、「この金額で、同じ家をもう一度建てられるか」という視点で説明することで、顧客にもイメージしてもらいやすくなります。
近年は、建築費が高騰しているため、購入時点の建物価格ではなく、現在の建築水準を前提に話を進めることで、補償の必要性を自然に伝えられます。
立地説明とセットで行う自然災害リスクの共有
不動産営業が強みを発揮しやすいのが、立地とリスクを結びつけた説明です。
物件案内の中で周辺環境を説明する流れから、「このエリアではどのような自然災害リスクがあるか」という話題につなげると、火災保険の提案も違和感なく行えます。
例えば、台風や集中豪雨による水災、風災、落雷など、火災以外の補償内容を具体的に説明することで、「火災保険=火事だけ」という誤解を解消できます。また、水濡れや盗難といった日常のトラブルにも備えられる点を伝えることで、補償の価値を実感してもらいやすくなります。
粗利アップにつながる契約設計と提案の工夫

火災保険で安定した粗利を確保するには、補償内容だけに目を向けるのではなく、契約期間や割引制度まで含めて提案することが大切です。
長期契約のメリットを「合理性」で伝える
火災保険料は、自然災害の増加や制度改定を背景に、今後も上昇する可能性があります。そのため、最長10年まで選択できる長期契約は、購入者にとって大きな魅力と言えるでしょう。
「将来の値上がりリスクを抑えられる」「毎年の更新手続きが不要になる」といったポイントを丁寧に伝えることで、押し売りではなく、合理的な選択肢として受け止めてもらいやすくなります。結果として、長期契約は代理店手数料の安定にもつながり、不動産会社側の粗利向上にも大きく貢献します。
割引制度を活用し納得感のある提案にする
新築割引や耐震・免震割引、長期優良住宅に関する割引など、建物条件によって適用できる制度は少なくありません。
これらを一つひとつ確認しながら提案することで、「補償は手厚いのに、思ったより保険料が抑えられた」という印象を持ってもらいやすくなります。
価格だけで比較される提案ではなく、内容と金額のバランスが取れた設計を行うことが、不動産営業としての信頼につながります。
不動産営業が避けたい火災保険のNGトーク

火災保険提案では、言い方ひとつで信頼を損ねてしまうケースもあります。ここでは特に注意したいNG例を見てみましょう。
「とにかく安い保険にしましょう」は危険
安さを優先した提案は、補償不足につながりやすく、事故発生時に大きな不満を生む原因になります。短期的な成約を優先するのではなく、将来のリスクまで見据えた説明が大切です。
焦らせる表現や根拠のない説明は避ける
「値上がり前なので急いだ方がいいです」といった表現は、顧客の不安を煽るだけでなく、説明不足と受け取られる可能性があります。値上げの背景を客観的に説明し、選択は顧客に委ねる姿勢が求められます。
また、「このくらいの金額で大丈夫です」と根拠を示さずに話を進めることや、「他社より安くできます」といった比較表現も注意が必要です。補償内容を揃えた上で、違いを丁寧に説明することが信頼につながります。
まとめ
不動産営業職にとって、火災保険の提案は単なる付帯業務ではありません。住まいと暮らしを守る視点で提案を行うことで、顧客満足度と粗利の両立が可能になります。価格競争に流されるのではなく、適切な補償を適正な形で伝えることが、結果的に「この人から買ってよかった」と思っていただき、信頼関係の構築にも繋がります。火災保険を信頼構築の一環として活用していきましょう。
みなさんの参考になれば嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。



