こんにちは。

不動産営業において、物件の紹介や内見を経てからの「追客(ついきゃく)」が成約に大きく影響することをご存じでしょうか。追客とは、一度問い合わせや内見をされたお客様に対し、再度商談のチャンスを作るためのアプローチを行う営業活動のことです。

「内見までしたのに連絡が途絶えた」「いい反応だったのに申し込みがない」このような経験は、多くの不動産営業担当者が一度は通る道です。しかし、こうした“あと一歩”のお客様に対して、効果的な追客を行うことで、成約率を格段に上げることができます。

今回は、物件の内見後にこそ力を入れたい「追客」にスポットを当て、効果的なフォローアップの方法とそのコツについて解説します。

皆さんのご参考にしていただけると嬉しいです。

なぜ内見後のフォローが重要なのか?

内見は、顧客の「購入・契約意欲」が最も高まる瞬間の一つですね。写真や資料だけでは伝わらない物件の魅力を体感し、実際に生活をイメージできる貴重な機会です。しかし、それだけに、内見後の対応次第で「この人から買いたい」と思ってもらえるか、「他を当たろう」と思われてしまうかが大きく変わってしまいます。それはなぜなのでしょうか。

内見後のお客様は、心の中で物件を比較・検討しながら、良いところを思い出しながら物件を契約するかどうか、考え始めているからです。「鉄は熱いうちに打て」というように、気分が高まっている早い時期に、的確なフォローアップを行えば、迷っている気持ちを後押しすることができると言えます。逆に、時間が経ってからフォローアップを行っても、あまり効果的ではありません。

また、物件は常に動いています。少しでも他社よりも早く、有益な情報を伝えることで、「この営業担当者は信頼できる」「情報を早くくれる人」と印象づけることが可能です。

つまり、内見直後は「契約への決断」にもっとも近いタイミングです。ここでの追客は、まさに勝負所なのですね。

成約率を上げるための追客テクニック

初動の速さが鍵!内見直後のフォローメールは必須

内見後のフォローアップは、できるだけ「その日のうち」に行うのが理想です。少なくとも翌日中には連絡を入れましょう。

メールの内容は、以下のようなものが効果的です。

  • ご内見のお礼
  • 物件の補足情報(気にされていた設備の詳細など)
  • 他の候補物件の提案
  • 質問や不安があればいつでも相談可能

メール文(例)

件名:本日はご内見ありがとうございました|〇〇不動産の〇〇です

〇〇様
本日はお忙しい中、物件のご内見にお越しいただき、誠にありがとうございました。
担当の〇〇です。

実際に物件をご覧いただき、気になる点などはございませんでしたでしょうか?
ご内見中にお話に出ておりました空調システムについて、補足の情報をお伝えいたします。

空調システムは〇〇年に交換済みで、現在も問題なくご利用いただけます。また、こちらのシステムについては管理組合による定期点検の対象となっております。

もしその他にもご不明な点やご不安なことがございましたら、どんなことでもお気軽にご連絡ください。
お電話でもメールでも、いつでもご相談をお待ちしております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

ポイントは「お客様が気になっているだろうことに、先回りして答える」姿勢です。これにより、誠実さと親身さが伝わり、信頼感が生まれやすくなります。

定期的な接点で「忘れられない営業」に

一度のフォローで終わらず、継続的にコンタクトを取りましょう。間隔としては1週間~10日が目安です。

ただし、頻度が多すぎると押し売りに感じられる可能性があるため、「新着物件が出たとき」「市況に変化があったとき」「条件にぴったりの情報が入ったとき」など、お客様にとって意味のあるタイミングで連絡することが重要です。

たとえば以下のようなパターンがあります。

  • 「先日ご覧いただいたエリアに、さらに条件の良い物件が出ました」
  • 「金利に変動があり、今後の住宅ローンの組み方に影響が出そうです」
  • 「前回の物件に似た新築案件が、予算内で出てきました」

メール文(例)

件名:〇〇様のご希望に近い新着物件が出ました|〇〇不動産の〇〇です

〇〇様

こんにちは。〇〇不動産の〇〇です。
以前はご内見にお越しいただき、ありがとうございました。

本日は、先日ご覧いただいたエリアにて、
〇〇様のご希望条件により近い物件が新たに出てまいりましたので、ご連絡させていただきました。

今回ご紹介する物件は、以下のような点が魅力です。
・駅から徒歩〇分と、よりアクセスが便利
・築年数が浅く、室内設備も充実
・価格もご予算内に収まっております

写真や詳細資料もすぐにお送りできますので、
もし少しでもご興味がおありでしたら、お気軽にご連絡くださいませ。

また、物件に関するご質問やご不安な点がございましたら、どんなことでも構いませんので遠慮なくご相談ください。
〇〇様のお住まい探しがスムーズに進むよう、今後もしっかりサポートさせていただきます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

このように「あなたのための特別な情報」を提供することで、営業メールでありながら歓迎される連絡になりますね。

提案内容は“お客様の生活に寄り添う”視点で

追客で大切なのは、物件や条件の話だけでなく、「お客様のライフスタイルに合っているかどうか」という視点です。

例えば、「お子様の通学や送り迎えのしやすさ」「共働きご夫婦にとっての利便性」「ペットと快適に暮らせる間取り」など、顧客のライフスタイルや背景に寄り添ったご提案を加えることで、より深い共感を得やすくなります。

さらに、物件情報だけでなく、暮らしに役立つヒントや周辺環境の紹介、地域のイベント情報などもあわせてお伝えすると効果的です。

単なる営業トークではなく、「生活をよりよくするための提案」として情報発信することで、顧客からの信頼を一層深めていくことができるでしょう。

まとめ

追客は単なる営業テクニックではなく、「お客様に寄り添い、必要なタイミングで、必要な情報を届ける」信頼構築のプロセスです。内見後の一歩を怠らず、誠実に丁寧にフォローすることで、お客様との距離が縮まり、結果的に高い契約率へとつながります。

日々の忙しい業務の中でも、少しの工夫と気配りで追客は大きな成果を生み出します。
ぜひ、実践してみてくださいね。

みなさんの参考になれば嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。

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