こんにちは。
不動産営業一筋のあきらです。
不動産会社に約12年間勤め、売買・賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に携わってきました。
1,000人以上にわたるお客様対応や、店長や営業部長として店舗を任されていた経験から、不動産営業のノウハウを皆さまに伝えていけたらと思っています。
決済は不動産取引を完結させる最後のステップです。決済をスムーズに進めるためには、不動産営業マンによる事前準備や各所への調整が重要なカギとなります。
この記事では、不動産営業マンが決済をスムーズに進めるためのコツや注意点を解説します。
最大のポイントは「事前準備」
決済は「準備がすべて」といわれるほど事前準備が重要です。決済の主な事前準備は以下が挙げられます。
決済全般 | 決済の日程調整(買主・売主・司法書士・金融機関・火災保険担当者など)必要書類の確認費用明細の作成 |
買主側の不動産仲介 | 住宅ローンに関する手続き火災保険の紹介・手続き |
売主側の不動産仲介 | 住宅ローンの抹消手続き物件の整理や清掃 |
このように、不動産営業マンが行う決済の準備は多岐にわたります。特に、決済の日程調整や必要書類の確認、費用明細の作成は各所に確認を取りながら行う必要があります。
準備不足によるトラブルを避けるためにも、抜けがないように慎重に進めなければなりません。
お金の流れや支払い方法を把握する
不動産営業マンは、決済で授受されるお金の流れを把握する必要があります。仲介、または売主として決済に臨む営業マンがお金の流れを把握しておかなければ、決済を進行することができないのです。
売主側の仲介の場合、残代金を売主へ振り込む手続きをしますが、中には住宅ローン完済のために残代金を複数の口座に分けるケースがあります。その際は、どの口座にいくら入金するのかをかならず把握しておかなければなりません。
一方、買主側の仲介では、住宅ローン金額とお客様の自己資金額に注意する必要があります。物件残代金だけでなく、仲介手数料や登記費用などの諸費用がかかることも忘れてはいけません。
また、諸費用の支払い方法も事前に確認しておきましょう。代表的な諸費用には以下が挙げられます。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 火災保険料
- リフォーム代金
これらの費用の支払い方法には「決済当日に現金で支払う」「指定の口座に振り込む」「事前に支払う」の選択肢があります。たとえば「仲介手数料と火災保険料は現金で支払うが、登記費用とリフォーム代金は振り込みで支払う」というケースも考えられます。特に、銀行で現金を引き出す場合、事前に銀行へ連絡をしておかなければ当日に現金を用意できないこともあるので注意が必要です。
決済を主導する営業マンが、費用明細と支払い方法をしっかりと把握することで、スムーズに決済を進められるでしょう。
物件の最終確認を怠らない
売主側の不動産営業マンが決済に臨む際は、事前に物件を引き渡せる状況にしておくことが重要です。引き渡し後のトラブルを回避するためにも、決済の前に物件の整理や最終確認などを行う必要があります。
引き渡し前の確認事項として、物件に掲示している「売物件」「管理物件」などの募集看板や旗を撤去しましょう。その際、看板を固定している結束バンドや針金の跡が物件に付いていることがあるため、跡が残らないようきれいに清掃しなければいけません。
物件内に残されている資料や備品も、事前に引き上げてください。特に、物件をオープンハウス会場にした場合、室内に物件資料やデスク、掃除用具が残っている可能性があります。この場合も、物件に付いてしまった汚れをかならず清掃しておきましょう。
また、物件の鍵を整理して売主に返却することも忘れてはいけません。玄関だけでなく勝手口や倉庫の鍵も預かっている場合は、すべての鍵が使用できるのかを最終確認したうえで返却しましょう。できれば、ホームセンターなどで売られている金属磨きを利用して、鍵を磨いて返却すれば喜んでもらえます。
不動産営業マンの役割は、契約の締結やお金の流れを把握することだけではありません。担当者として、引き渡しまで責任を持って物件を管理することを心がけましょう。
本人が不在の際の対応に気をつける
中には、決済に買主・売主本人が立ち会えないケースがあります。その場合は、事前準備や手続きが別途必要になるため、不動産営業マンが責任を持って対応しなければいけません。
本人が不在のケースでは、委任状を取得する必要があります。委任状とは、本人に代わって代理人に同等の行為が行える権限を委任する書類です。
たとえば、本人に代わってその妻が決済に立ち会う場合、委任状に加えて本人の印鑑証明書と住民票が必要になります。委任状には「本人に代わり妻に決済の権限を委任する」という内容を記載しなければならず、本人の署名と実印による押印が必要です。
委任状に記載するべき項目は、主に次のとおりです。
- 物件の所在・地目の表示項目
- 建物の家屋番号・種類・床面積などの表示項目
- 売買代金の支払いや受領などに関する権限、具体的な委任の範囲
- 代理人の氏名・住所
- 委任者である買主または売主の氏名・住所の署名と実印による押印
- 書面記載日の日付
さらに、決済で代理人に出席してもらうためには、事前に司法書士による本人確認をしなければなりません。本人確認は原則対面で行う必要があり、日程調整や場所の確保も忘れずに行ってください。
このように、本人が不在の場合は確認事項や手続きが増えてしまいます。決済直前で慌てないように、当日に本人が出席できるのかを、余裕を持って打ち合わせしておくことが重要です。
まとめ
不動産取引において、決済は取引の最後を締めくくる大切な業務です。それまでの手続きがスムーズに進んでいたとしても、決済でトラブルが起きると、これまでの努力が水の泡になってしまいます。
決済で重要なポイントは「事前準備」です。自分1人で決済の準備を行うことに不安がある方は、自分なりのチェックリストを用意して、それに沿って進めるのがおすすめです。
不動産取引を円満に完結させるためにも、この記事を参考にスムーズな決済を目指しましょう。