本屋には、営業スキルやノウハウの本が溢れている。
この本の量は、数十年前から変わらない。
これだけノウハウ本に溢れても、どんどん新作が出続けても、それでも「その通りにやれば誰でも100%成約する本」は存在しない。
営業力の向上には、誰でも共通する方法というのがあまりないのだろう。
ある人に向いている方法でも、別の違う人には向いてない、ということは多い。
これは、マネジメントやリーダーシップなどにも言える。
統一的な、絶対的な正攻法が少なく、それによってさまざまなノウハウ本が出版され続けている気がする。
そうは言っても、人間力をベースに、スキルや知識を身につけ、営業推進力を高めると、数字、すなわち成果はどんどん上がるだろう。
ただ問題なのは、この基礎的な人間力の向上が非常に難しいという点である。
途中で挫折してしまう人が多いのも無理はない。
たしかに営業成果を上げるには、前述のように段階的な成長が重要になることは間違いない。しかし、営業数字を上げることと、営業力を上げることとは、全く別の話であるということも忘れてはならない。
心理学には、初頭効果というテクニックがある。
簡単に言えば、第一印象の良さはかなり強力で、その印象は半年程度続く、というものである。たしかに自身の経験と照らし合わせても、強く頷ける。
第一印象が悪い人には、あまり積極的にこちらから話しかけることも、もう一度会おうとも思わない。
逆に、第一印象が良い人には、当然話しかけやすいし、また会いたくなる。
こういった接触時の効果は初頭効果だけではなく、親近効果という心理効果もある。これは、最後の去り際の印象が良ければ良いほど、心理的に記憶に残りやすい、というものだ。
営業力を上げるためには、まず人間力を上げる、という基礎的なことが必要だが、そうはいっても人間力は、一朝一夕で向上するものではない。
営業職が初めての方、新卒の方などは、この初頭効果、親近効果を徹底的に高めるような訓練をしても良いのではないだろうか。挨拶の徹底や笑顔の作り方、お客様に対する反応、など、本当に営業が苦手な人には、かなり高い効果が期待できる。
またもしかしたら、熟練者であっても、それが悪い意味でお客様に伝わってしまい、第一印象が悪くなるケースもあるだろう。
この話を踏まえて、これを機に、自分自身の初頭効果、親近効果を見直してみても良いのではないだろう