賃貸仲介業で最重要施策の「他社分析」とは?

これから賃貸仲介業を開業するためのノウハウとして、前回は、立地の重要性や管理業との兼ね合いについての話をした。
今回は、開業後、売上を上げる店舗になるために非常に重要な施策となる「他社分析」についての話をしたい。


仲介店舗で売上が上がらない原因は、いくつかある。
まず考えられるのは、内的な要因だ。
たとえば、スタッフが辞めてしまい人手が足りないケースなどがそうだ。次に、外的な要因がある。ライバル店が広告費を大きく投下してきた、のような周辺業者の動きから、景気不景気などの時代のトレンドまで、さまざまな外的な要因で売上が下がってしまうことがある。
いっぽうで、逆に言えば、こうした内的要因や外的要因に対して、しっかりと対策を打つことができれば、高確率で売上の安定化が計れるだろう。

こうした外的な要因と内的な要因を解決する一番の打ち手として、「他社分析」が挙げられる。
同業他社を分析、研究することにより、初めて自店の打ち出し方などがわかってくる。他社の動きを見ていくと、自社の向かうべき方向が見えてくる。

今回は、賃貸仲介店舗の他社分析方法を簡単に紹介したいと思う。

①ターゲットにする店舗を決める
はたして自店舗のライバル会社はどこなのか?という問いから他社分析はスタートする。
自分の出店エリアに近い不動産会社なのか、もしくは沿線上にある不動産会社なのか。これは自店舗がどこまでの商圏で仲介業を行うかによるだろう。 
自店舗のエリア周辺で勝負をする戦略と、広域で営業活動を行う戦略では、分析すべき不動産店舗の対象も異なってくる。

また、店舗の規模も分析においては、重要だ。5人未満の店舗なのか、それとも10人以上が働いている店舗をターゲットにするのか。大手かFC、それも独立店舗なのかも考慮しなければならない。

いずれにしても、自社の規模や戦略に近い分析店舗を最低でも5店舗程度リストアップした方が良いだろう。

②広告掲載の分析
対象とした競合店舗のポータルサイトの掲載内容を細かく見ていく。
各サイトの掲載件数、掲載エリアから始まり、掲載方法(写真やコメント)、そしてオプションなどの利用状況を見ていく。
反響獲得するうえで、実際、この他社分析を実施していない店舗は、驚くほど多い。しかし、こうした分析を行うことで、かなりの高確率で反響を増加させることができる。
他社とは異なる掲載方法やエリアの分析、そして媒体予算の検討など、多くの気づきが、生まれるだろう。

③店舗の立地、雰囲気
店舗の立地、雰囲気を調査し、他社との差別化を図る。店舗の雰囲気は、空中階に所在する店舗だと、なかなかわかりにくいが、路面店であれば、かなり見てとることができる。
競合店舗が無機質だったり、店舗の美化ができていないライバル店がほとんどだった場合、内装に少し拘りと清潔感をもたすだけで、優位に立つことができる。

④店舗の管理物件数
広告掲載物件やホームページなどから、分析対象の店舗の管理物件数を調査する。
管理物件のみしか掲載していない店舗もあれば、混合している店舗も、また完全に仲介物件のみの店舗もある。

こうした他社の管理物件状況を調査したうえで、自社の管理と仲介の営業バランスを検証していくことも重要だ。

⑤採用サイトなどの確認
分析対象店が、現在、採用活動をしているか否か。また採用している場合、どれぐらいの給与で募集しているかも調査する。
これは、たとえば、自社で採用活動をする場合、大変参考にすることができる。ライバル店と給与面で差別化を図ったり、育成方法などで差別化を図ったりなど、いろいろな手を打つことができる。

また採用サイトには、業績や現在働いているスタッフの平均年齢なども掲載されていることが多い。意外と宝の山なのだ。

上記のような分析をかけていくと、改めて自分の店舗の戦略がなんとなく固まってくる。
他社から真似すべきもの、そして他社と差別化を図るものを理解するだけで、今後の店舗運営は天と地ほども異なる。
出店をした時点で、運営の目線でついつい内側(自社)に目が行きがちになるが、常に競合他社の分析は忘れてはならない。

南智仁
 
 

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